接する証拠の量

ライブドア事件について、容疑事実に関し、違法性はないのではないか、特捜部の勇み足ではないか、といった印象を抱いている人も少なくないようです。
私自身、この事件について報道で見ているだけであり、逮捕された人々が有罪かどうか、正確なところはわかりません。
ただ、検事から弁護士になって強く感じるのは、刑事事件において検事が見ることができる証拠の豊富さ、ということです。
裁判所の場合、刑事事件で接する証拠は、当然のことですが、法廷で証拠として取り調べられた証拠です。また、弁護士が接する証拠も、基本的には裁判官と同様であり、それに、自ら収集する証拠が付け加わりますが、弁護士の調査能力には、残念ながらかなりの限界があって、収集できる証拠は乏しいと言っても過言ではないでしょう。
これに対して、検事、検察庁の場合、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060124#1138086834

でも述べたように、相当広範囲に情報収集を行い、分析、検討を行うことが可能です。そのような収集証拠の中で、公判へ出し弁護士が見ることができるものはごく一部ですが(だからこそ「証拠開示」の問題が発生するわけですが)、海面上にほんの少し頭を出した氷山が、海面下に巨大な見えない部分を持っているように、表に出る証拠の「裏の部分」というものが相当程度あるわけです。
私を含め、上記の事件についてあれこれ言っている人々は、海面上にほんの少し頭を出した部分しか見えていないと言っても過言ではなく、その議論には、自ずと限界があります。
この点は、私自身に対する戒めとしても、十分認識すべきだと思います。