「陸・海・空軍人によるウクライナ侵攻分析ー日本の未来のために必要なこと」

 

私自身、現在のウクライナ紛争に関する報道等に接していて物足りないのは、軍事専門家によるものが、ないわけではないものの圧倒的に少ないことです。行われているのが軍事力を用いた紛争ですから、軍事専門家の見立て、意見をもっと聞いてみたいと、ずっと感じています。

本書は、自衛隊将官経験者が語り合うという形式のもので、昨年の一定時点までのものにとどまってはいますが、紛争の経過を踏まえながら、軍事専門家の観点で分析を加えていて、そういう見方もあるのだな、なるほどと、いろいろ参考になるものがありました。

今後も、真偽不明な、様々な情報が氾濫するものと予想されますが、こうした専門家には様々な機会で発言してもらい、我々が誤った情報に振り回されないようにしていただきたいと感じています。

日本では、戦後、軍事に関する話題をタブー視し、教条的、観念的、硬直化した平和論が横行してきましたが、日本にも戦火が迫る中、日本を、日本で暮らす人々を、自由で民主的な社会を守るためにはどうすべきかについて、避けて通らずに徹底して議論し、実行すべきは実行していく、そうあらねばならないことを、本書を通じて改めて強く考えさせられました。