検察官視点の刑事手続概論(連載を開始するにあたり)

私が検事に任官したのは平成元年(1989年)、退職したのは21世紀になる直前の2000年(8月)で、弁護士になって今年で17年目に入りますから、11年5か月務めた検事より、弁護士になってからのほうが既に長くなっています。検察庁では、どこかに出向したり法務省勤務になることもなく、ひたすら捜査・公判にまい進していて、その間、たまたま平成7年(1995年)4月に東京地検公安部へ配属されたことからオウム真理教関連事件の捜査に忙殺されるなど、それほど長く検察庁にいたわけではない割には凝縮した検事生活を送った気がします。
弁護士になった後も、刑事事件の取り扱いが途切れたことはなく、常に何らかの事件を担当し、その中には、元公安調査庁長官らが朝鮮総連本部土地・建物等を詐取したとされる事件など社会の耳目を集める事件もあり、また、世間を騒がせた遠隔操作事件では、真犯人から私宛てに犯行告白メールが繰り返し送られてきて弁護人ではない立場で事件に関わりを持ったこともありました。そうした、いろいろな経験が今現在の私のバックグラウンドとなっていて、担当事件や各種コメント(ブログ、ツイッターなども含め)に生かされています。
平成28年(2016年)になり、私の法曹生活も通算で28年目に入って、このあたりで、敢えて「検察官視点で」刑事手続を概観することも、当時のことをできるだけ客観的に振り返って形に残しておくということも含め、それなりに意味があるのではないかと思います。
このような観点で、今後、不定期で、書き綴ってみたいと考えています。
なお、その1、その2と進めますが、その間に、「その1とその2の間に」といった形で、掘り下げたり幅を広げたりした記事を、毎週月曜日に発行しているメールマガジンに掲載したいと考えています。こちらは有料メルマガになりますが、興味ある方はそちらも御覧ください。併せて読んでいただくことで、よりおもしろくためになる(ブログだけでもそうなることを目指しますが)連載になるようにしたいと考えています。堅苦しくならないように、体験したエピソードなども、できるだけ思い出し盛り込むつもりでいます(特にメールマガジンでは)。

弁護士落合洋司東京弁護士会)の「日々是好日」メルマガ
http://www.mag2.com/m/P0008137.html

アトランダムな内容になると思いますが、よろしくお付き合いください。