http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150616/k10010115891000.html
トップの逮捕について、福岡県警察本部の吉田尚正本部長は記者会見で「上納金は暴力団が市民に恐怖を与えながら資金を獲得するシステムで、工藤会の場合は年間で億単位に上るとみられる。捜査を進め、暴力団組織の根幹である上納金の仕組みを明らかにし、工藤会壊滅に向けてのさらなる一歩としたい」と述べました。
米国の歴史上有名なギャングであるアル・カポネを服役まで追い込んだのは、殺人、といった犯罪ではなく脱税だった、というのはよく語られることですが、暴力団対策の基本である「資金源を絶つ」という点では、脱税による摘発は効果的で、警察も、以前からそこは強く意識して狙ってきたところですし、私も、検察庁在籍当時に、そうした相談を別の検事が警察から受けたという話を聞いたことがあります。ただ、元々、脱税事件の摘発は、課税を行い豊富な情報を収集、利用できる国税当局が専ら行ってきたという経緯がある上、そうした捜査について、警察ではなかなか検察庁が立件にゴーサインを出すレベルにまでこぎ着けにくいという側面もあって、例外的、散発的な立件例はあっても、ここまで大々的な事件は、日本警察史上、実質的に初めてではないかと思います。それだけに、これが起訴、有罪まで進めば、今後の警察による暴力団捜査、さらには組織犯罪捜査に新たな局面を切り開く、画期的なことと言えると思います。
国税当局がどこまで協力しているのかわかりませんが、見えないところでかなり協力している可能性はあり、そうした協力関係は、今後、さらにこの種の捜査で強化されて、強力な武器となる、そういう時代になっているという印象を受けます。