- 作者: 三井環
- 出版社/メーカー: 創出版
- 発売日: 2010/05/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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元大阪高検公安部長の三井氏によるものですが、最近、続々と出ている「反検察本」の最右翼に位置すると言っても過言ではないでしょう。最後に、今年2月に開催されたシンポジウムのパネルディスカッションの模様が収録されていて、その出席者が、三井氏のほか、鈴木宗男、安田好弘、上杉隆・・・といった豪華なメンバーで、私にとっては三井氏の手記だけでなくこちらも、かなり興味深いものがありました。
検察庁の在り方についての批判は、既に様々に行われていますが、上記のパネルディスカッションでも指摘されているように、検察庁、警察に多数の記者が張りついて、捜査機関といわば一体化しネタをもらって記事を書き、意に沿わないと干されて困り切ってしまう、という構造も正常とは言えないでしょう。そういった一種の「蜜月」状態も、インターネットが発達し誰もが情報発信するという状況の中で徐々に崩壊しつつありますが、早く、従来のものに代わるモデルをマスコミとしても見出さないと、反警察、反警察という大きな渦の中で、反マスコミという流れが定着しかねないのではないか、それはマスコミにとっても国民にとっても不幸なことでないかという印象を、読み終えて感じました。
大林新検事総長は、経歴や考え方を見ていると、反特捜ではないものの「非特捜」の赤レンガ、という印象を受けますが、東でも西でも(西は例の厚労省元局長の事件)特捜の在り方が問われている現状で、当面、特捜の分野では動きにくい、動く以上はかなり確実なところでしか動けない、といった状況が続きそうな予感がします。