「2010年NTT解体―知られざる通信戦争の真実」(日経コミュニケーション)

2010年NTT解体―知られざる通信戦争の真実

2010年NTT解体―知られざる通信戦争の真実

昨日は、中国地方へ日帰りで出張しており、往復で10時間余り、新幹線と電車に乗っていたので、車中でかなり本が読めました。この本は、年末年始に、タイで途中まで読んでいましたが、昨日、残りを一気に読み切りました。
NTT再編へ向けての動きや、関係者の種々の思惑などが赤裸々に描かれていて、こういった分野に興味のある人(私もその一人ですが)にとっては、今後の動きを見て行く上でのバックグラウンドが養える1冊と思いました。
特に感じたのは、業界再編、次世代ネットワークなどと盛り上げるのは結構なことですが、利用者にとって真に使いやすいサービスが提供されなければ何の意味もないだろう、ということでした。この本の中で、2006年中に開催された次世代ネットワークに関するシンポジウムの際、主婦連の関係者が、利用者にとって何ができ料金がいくらかが重要であるなどと利用者の立場から的確に指摘して会場が静まりかえった、というエピソードが紹介されていましたが(178、179ページ)、業界の覇権を握る、技術的に優れたネットワークを構築する、ということばかりに目が奪われ、利用者というものが置き忘れられてしまえば、結局のところ、巨額な投資に見合うリターンは得られず、関係者の努力や苦労が水の泡になってしまいかねない、ということを忘れるべきではないでしょう。