調書作成指針を通知 最高検、8月から試行

http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006072301003118.html

指針案によると、容疑者や参考人らの供述は原則として、検察官が内容を口述し、検察事務官がパソコンで入力する。

ワープロ調書(今ではパソコンですが)が作成されるようになった当時から、上記の方法が望ましく好ましい、と言われてきましたが、実際は、検察官が自ら入力する、という場合も少なくなかったのが実状でしょう。
私が検察庁にいた当時は、基本的に、口述して立会事務官に入力してもらっていました。やってみるとわかりますが、そのほうが、取り調べメモや資料等を手にして見つつ、整理しながら調書内容を検討でき、また、疲労度も自分で入力までするよりも少ないものです。
非常に忙しくなると、立会事務官はいろいろな作業のため走り回っていて、検察官が取り調べ、調書作成を行う、ということも、どうしても起きてきますから、上記の指針をどこまで徹底するか、という問題は生じるように思います。

追記:

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20060724/20060724_003.shtml

によると、

調書の内容を再確認後、公判で調書が証拠の中心となり、信用性が争点となることが予想される場合などには、原本の全ページに容疑者らの確認印を求める。

とありますから、必ずしも、全件について「確認印」を求めるわけではないようです。ただ、一旦始めれば、将来のことを考えて、手堅くやっておこう、という意識が働き、運用面で、相当数の事件で実行されることになるかもしれません。
目新しいのは、

調書の作成過程を調書中に記録することとし、口述録取や内容確認の方法などを記載した部分についても容疑者らの確認を得るように指示している。

でしょう。これは、従来、行われていなかったものです。従来は、公判で、「読み聞かせが早口で聞き取れなかった」「訂正を申し立てたが聞き入れられなかった」等の主張がよくでてきましたが、上記のような措置で、そういった主張を封じようという意図があるのでしょう。ただ、取調官が作成する調書の記載である以上、限界はあると思います。