「グーグル八分とは何か」(吉本敏洋)

グーグル八分とは何か

グーグル八分とは何か

一昨日購入し、昨日、一気に読みました。グーグルについては、明暗の明、正負の正の側面が脚光を浴びがちですが、この本では、後者、すなわち「暗」「負」の側面に光があてられています。インターネットが広く普及し、人々の検索エンジンへの依存度が高まれば、情報が検索できるかできないかが、検索対象(特に「検索されたい」人や組織)にとって死活問題にもなり、検索結果の表示に不公平や恣意性等が持ち込まれてしまえば、種々の問題が生じてくるのは事実でしょう。その意味で、この本で指摘されている問題は、軽視できないものであり、今後、さらに深刻な問題へと発展してゆく可能性をはらんでいると思います。
ただ、検索サイト運営者としては、検索結果表示について、「表示されたくない」と考える人や組織が、名誉毀損等を訴え、少なからぬ人々が検索サイト運営者自体の法的責任(民事及び刑事)も主張して、熾烈に削除等を求めてくることに対し、単に、「訴訟で受けて立ちその結果に従う」という対応だけで済ませる、というわけにも行かないのが実状だと思います。訴訟費用をけちるな、というのは、一つの考え方ではありますが、「権利侵害を知りながら敢えて放置すれば責任が発生する」という考え方も無視できない現状では、訴訟へと先送りできない、と考えざるを得ない場合も生じてきます。そして、訴訟とは異なり、主張や証拠による立証、それに対する反論や反証、といったことが困難な状況下で、削除する、しない、といった判断を迫られる検索サイト運営者は、進むも地獄、退くも地獄、という、極めて厳しい立場に置かれてしまっているということが言えると思います。
私自身、この本の著者の、検索サイト(特に巨大な)運営者には社会的責任がある、という主張はもっともだと思いますが、その責任を果たす中では、検索結果を残してほしい、削除しないでほしいと強く望む人や組織(この本の著者のような)と、削除してほしい、表示させないでほしいと強く望む人や組織の利益を、公平に取り扱う必要があり、そこが極めて難しい、ということを、この本を読みつつ改めて強く感じました。そもそもの問題点は、この本でも指摘されていますが、名誉毀損法理を適用する上で、純然たる私人も公的存在も区別せず、後者についても公共利害性や公益目的、真実性(真実誤信相当性も含め)の厳密な立証を求めている現状にあるとも言えるでしょう。
この種の問題を考える上で、必読の1冊ということが言えると思います。

ホイットニー・ヒューストンのツアー衣装など競売に

http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200701040021.html

かつてブラウンさんと住んだジョージア州アトランタ近郊の家は裁判所に差し押さえられ、昨年11月に売却された。

映画「ボディガード」に出演していたころは、華もあり良かったと思いますが、薬物使用疑惑、夫との不仲、離婚など、本業以外で話題になることが多くなる中で、次第に追い込まれて行っているように見えます。復活を期待したいですね。

「団塊」大量退職に備える警察

若手警官 セットで特訓 『団塊』の退職対策 習うより『慣れよ』
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070104/eve_____sya_____001.shtml
[警察庁]「鬼警部」育成を目指す  団塊大量退職で
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2949220/detail

時々、警察大学校に呼ばれ、研修員に講義をすることがありますが、事件・事故に追われる中で、刑事法令の改正や世の中の様々な状況の変化(インターネットなども含め)に対応すべく勉強も必要で、警察官にかかる負担にも多大なものがあると思います。
精強な警察力が確保されていることは、一国の治安を維持する上で重要なことであり、こういった努力、工夫は今後とも続けてほしいと思います。

開業医一家 受験の重圧とは 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20070106/mng_____tokuho__000.shtml

妹バラバラ殺人事件の背景が検討されていて、なかなか読ませる内容です。

精神科医の作田明氏は両親とも医者という一家に育った。しかも自身、医学部に合格するため三浪した。
「家族がみな同じ資格をもち、同じ方向を向いていると、その中で違う方向にいくのは難しい。特に男の子がほかの道に進むことには家族全体が許容しない雰囲気がある」と作田氏は医師一家がもつ独特の“空気”を明かす。

作田氏が指摘するような事情が、殺人に直接つながるものであったかどうかは今後の解明に待つしかありませんが、背景事情の一つになっていることは確実でしょう。
弁護士の場合も、昔から、特に、繁盛している事務所を経営している弁護士は、子供を後継者にしたいと考えて、司法試験を目指させ、子供が何年も司法浪人をしている、というケースが少なくありません。
医師、弁護士、その他の自営業種で、自分が築き上げてきたものを子供に継がせたい、継がせて充実した人生を送らせたい、と考える気持ちは理解できますが、人にはそれぞれ人生でやりたいことがあり、また、適性もありますから、過度な期待や押しつけは大きな不幸を生む場合もある、ということだと思います。
私の場合、元々、弁護士を目指して司法試験を目指したわけでもなく、仕事のパフォーマンスを上げることには強い意欲がありますが、「事業承継」といったことには何の関心もないので、ある程度高齢になって仕事もなくなってくれば、早めに事務所をたたみ、東南アジアのどこか物価の安いところで、読書やインターネットを楽しみながら(時々は日本に戻りつつ)、細々と生活したい、と思っています。

消えゆく空の職人技 在来機引退、機関士も職種替え

http://www.sankei.co.jp/shakai/wadai/070106/wdi070106005.htm

航空機関士は、機長と副操縦士が座る操縦席の右後方で、壁一面を占める計器類、スイッチを操ってエンジンや燃料、与圧などを管理している。「わずかな異変に対して、原因を経験から類推していくことなどコンピューターにはまねできない」。日本航空航空機関士、山部義裕さん(54)は胸を張る。

昭和60年に起きた日航ジャンボ機墜落事故の際のボイスレコーダーにも、航空機関士が、冷静に意見を述べている場面が出てきます。機体に問題が生じるような緊急事態が発生した場合に、コンピュータが発達したとはいえ、操縦士2名だけで適切に対応しきれるのか、乗客の立場からは、やはり不安を感じます。
最近、たまたま書店で見かけて購入した

JALの翼が危ない

JALの翼が危ない

を読んでいて感じるのは、安全の確保とコストダウンが、常に強い緊張関係にあり、特に航空会社の場合、後者の圧力が強すぎると、極めて悲惨な破局へと一直線に突き進みかねず、その際に発生するコストは、安全を犠牲にしてちびちびとけちったコストとは比べものにならないくらい莫大なものがあるだろう、ということです。上記の日航ジャンボ機墜落事故が、日航による日頃の点検整備をより徹底すれば防げたかどうかは何とも言えませんが、事故後の莫大な出費と、点検整備の強化による出費を比較した場合、後者を相当強化していたとしても、その出費は前者に比べればわずかなものでしかなかったはずです。また、お金の面だけでなく、この事故により日航が失った信頼には計り知れないものがあり(正に「お金で買えない価値がある」でしょう)、それも含めて考えると、何をすべきか、すべきでないか、という答は自ずから決まってくると思います。
上記の書籍では、機内販売での売上にこだわる日航の姿勢などが批判されていますが、安全というものが、最も重要なサービスであり、それを達成するためには、他が(内容にもよりますが)犠牲になることはやむをえない、安全を絶対的に優先する、という、組織としての強い決意を固めるべきではないか、と思いますし、その点が明確になれば、機内で配布される飲食物の中身とか、機内販売で何が買えるか、などといった些末なことで客が離れていったりはしないと思います。>日航