当直士官2人を在宅起訴=業過致死罪など−イージス艦衝突事故・横浜地検

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090421-00000066-jij-soci

事故の再発防止を目的に原因を究明する海難審判の裁決は、前航海長について見張り不足や不適切な引き継ぎを指摘しつつ、事故との因果関係を否定していた。
第3管区海上保安本部によると、前航海長は昨年2月19日午前3時40分ごろ、清徳丸を含む漁船群の灯火を確認。当直引き継ぎの際も、前水雷長と再度灯火を視認したが、両者とも継続的な監視を怠り、同4時6分ごろに衝突した。 

横浜地検としては、前航海長についても、海難審判で指摘されたような注意義務を尽くしていれば事故は防げたとして、過失を認定(引き継ぎ後の当直士官の過失との関係では、過失の競合と見ているのでしょう)したものと思われますが、海難審判では、上記のとおり、因果関係が否定されたということであり、今後、特に前航海長の過失は大きく争いになりそうです。
後行、介入する行為が過失犯であった場合、因果関係を断絶する力は故意犯に比べると弱くなるもので、古くからある因果関係の中断という考え方でも、中断するのは、自由かつ故意に基づく第三者の行為または自然力が介入した場合とされ、過失に基づく行為による中断は認められていないのではないかと思われます。過失の競合という捉えられ方をされやすいということは言えるでしょう。
ただ、先行する過失に比べて、後行する過失の度合いが著しく大きいような場合は、「競合」を認定することが不合理な場合もあると思われ、本件でも、前航海長の過失の有無だけでなく、その程度といったことも問題にになりそうな印象を受けます。