富山の病院 7人安楽死 医師「尊厳死だ」 殺人容疑で県警捜査部下らも黙認

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060326-00000000-san-soci

非常に大きく、かつ深刻な問題をいくつも抱えており、なかなかコメントが難しいのですが、この記事でも紹介されている

平成七年三月の東海大病院事件判決で、横浜地裁が示した安楽死の要件は(1)死期が切迫している(2)耐え難い苦痛がある(3)苦痛除去・緩和の手段がない(4)本人の意思表示がある−の四つ。

は、あくまでも下級審裁判例が示した一つの指針であり、安楽死について違法性が阻却されるための完全に確立した必要十分条件とまでは言えず、この要件を満たさないから、即、違法である、とは言えないと思います。報道を見ていると、上記の要件を満たしているかどうかを金科玉条のように捉えているものが目立ちますが、私としては、疑問を感じています。
もちろん、人を死に至らしめるということについて、緩やかな要件で是認されてよいはずがありませんが、おそらく、根本的な問題は、終末医療の在り方とか、その中での人の死、どういう死を迎えたいか(この点は、人格権の一環としての自己決定権の範疇に入るはずです)、そのために何ができ周囲がどのように協力できるか、といったことについて、問題が山積したまま、あまりにも制度、ルール等が未整備のままになっている、ということではないかと強く感じます。
この種の事件をセンセーショナルに取り上げるだけでなく、上記のような問題について、徐々にではあっても着実に検討を加え、制度、ルール等を整備する必要があると思います。