ネット競売詐欺激減 ヤフー被害額、17年の1割に

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080105-00000077-san-soci

ヤフーによると、オークション取扱総額が増え続ける中、詐欺被害者に支払った補償金(被害額の8割)は昨年1〜9月で約9000万円。18年同時期の約4億4000万円、17年同時期の約8億7000万円と比べると大きく減少した。補償金は被害者側に特別な落ち度がない限り払われ「詐欺被害額と連動する」(同社)という。
同社は、ID(会員番号)のほかに暗号を入力しないと出品資格を得る登録ができないようにしているが、18年11月から暗号が記載された文書の配達を開始。出品希望者が住所入りの身分証を提示しないと文書を渡さない仕組みにして本人確認を徹底した。
さらに、スタッフ200人態勢で出品をチェック。出品歴がない人が突然「パソコン10台を売る」など不審な出品は強制削除もするという。

私が、検事を辞め、ヤフーで働くようになったのは2000年9月ですが、状況としては、オークションにおける各種トラブル対策、ということを早急に要請されていて、ヤフーオークションというものがなければ、私がヤフーに入ることもなく、インターネットの世界に関わることもなかったと思います。その意味では、ヤフーオークションというものは、私個人の進路にも大きな影響を与えた、と言っても過言ではないでしょう。
当初のオークションでは、違法出品、ということが大きな問題であり、特に、わいせつ、児童ポルノ関係が問題になっていました。2000年11月に、京都府警による強制捜査(と言っても令状による差押程度でしたが)がヤフーにも及び、大きく報道されましたが、児童ポルノに関するもので、これを契機に、わいせつ、児童ポルノ関係の出品に対する対策は、さらに大きく進みました。上記の記事にあるような出品チェック体制も次第に進み、24時間、365日監視する体制になって、違法、不当出品は、根絶まではできないものの、次第に問題としては下火になって行った、という状況でした。そして、それに代わって大きく問題になったのが、オークション詐欺だった、ということになります。
オークション自体、結局は、出品者と落札者の間で商品、金銭のやり取りが行われ、インターネット・オークションの特徴として、力関係として出品者側が強い、という面もあるため、詐欺が多発する、という状態になってしまったように思います。詐欺の態様としては、金を送らせ商品を送らない、商品を送らせ金を送らない、という2つのパターンがあり得ますが、後者はほとんど問題にならず(なくはないのですが)、圧倒的多数は前者のパターンです。
運営者側の対策としては、大別して、
1 出品者に関するもの
2 落札者に関するもの
3 決済手段に関するもの
があって、1については、取引後の評価システム、本人確認(当初は単なるメール認証から始まりましたが、上記の記事にもあるように次第に厳格化されて現在に至っています)、不正アクセスによるID乗っ取り(評価が高いIDを乗っ取り詐欺をはたらく)防止のための啓発、ID譲渡防止のための啓発等を、2については、詐欺被害にあわないための様々な啓発等を、3については、エスクローサービス等の推奨(エスクローはなかなか利用されずに来ていますが)、詐欺に悪用されている口座の公表等を、従来、行って来ています。様々な対策に加え、警察等の公的機関への協力や被害についての補償を行う、というのが、今までのヤフーとしての取り組みでしょう。特に、最近では、上記1に関わるものになると思いますが、上記の記事にもあるように、「疑わしい出品」は強制削除する、という、取引の中身には関わらないという従来の運営者としてのスタンスを一部、変容させるような対策まで講じていて、詐欺対策は相当程度進んできている、と言っても過言ではないように思います。
おそらく、様々な対策、対応が功を奏して、上記のような詐欺の大幅な減少へとつながってきているものと思います。
今後も、様々な対策、対応を、効果も検証しながら継続して行くことが重要ではないか、と、上記の記事を読んで強く感じました。