「残酷ショー」としての高校野球

http://bylines.news.yahoo.co.jp/soichiromatsutani/20140831-00038729/

高野連が主催する全国高校軟式野球選手権大会・準決勝で、岐阜・中京高校と広島・崇徳高校が、4日間、延長50回に渡って試合を繰り広げたからです。

高野連としては、おそらく高校生の夏休みが終わる31日までしか球場を押さえておらず、どうしてもスケジュールを消化しなければならないのでしょう。だとしたら、延長50回も続いた準決勝のサスペンデッドルールは、なんだったのかという話になります。
これは明らかに異常な事態です。

昔のプロ野球では、連投につぐ連投で、年間40勝などといった人もいましたが、連投がたたり選手生命は短く終わるということがよくありました。現在のプロ野球では、そういうことはなくなっていますが、学生野球、特に高校野球では、まだそういう悪弊が残っていて、上記大会では延長が50回に及ぶという、確かに異常な事態になってしまいました。投げ続けた投手の負担は相当のものであったはずですし、投手以外の選手の負担もかなり重かったでしょう。選手の健康や選手生命を考えると、こういったことは厳しく制限しておく必要があると思います。
例えば、延長は何回までと制限し、そこまでで決着がつかなければ抽選で勝敗を決めるとか、投手については1日当たりで投げられる球数の上限を決めておき、そこまで達したら、少なくとも中1日おかないと次の試合では投げられない、といったルールを定めて厳格に適用することが必要だろうと思います。厳格に適用することで、主戦級の投手だけでなくサブの投手も用意しておかなければならないとか、大会日程も余裕をもって組んでおくなど、様々な対応措置が講じられることも期待できますし、何よりも選手の健康を守ることにつながることが重要です。
選手や監督としては、プレーせよと言われればやらざるを得ず、運営側(高野連など)が、きちんと対策を講じておくことが必須でしょう。こういうことを漫然と放置して50回も延長戦を戦わせるような、人の健康に対する無神経さや鈍感さ、過度の精神主義には、問題となっているブラック企業や過労死などを生み出すものと同じ土壌、背景を感じさせるものがあります。それは日本社会そのものが抱える悪弊でもあるでしょう。