「慎重に捜査し全容解明を」 犯行声明などを送られた落合洋司弁護士

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130210/crm13021012360011-n1.htm

今朝になり、被疑者逮捕が大きく報じられ、私も驚きました。記事でのコメントも、「驚いた」から始まっています。

「率直に驚いた。ネコの首輪に記録媒体を付けたのがきっかけだったとしたら、『墓穴を掘ったな』と思う」と述べた。
落合弁護士はサイバー犯罪に詳しく、事件の発覚当初、コメンテーターとして出演したテレビ番組で事件について言及。昨年10月9日に真犯人を名乗る犯行声明メールが送られたほか、同11月13日の自殺予告、今年1月1日と5日のパズルのメールも届けられた。
真犯人は犯行声明メールで、落合弁護士を選んだ理由を「たまたまテレビに出ていたから、また、事情に詳しそうだったので」と説明していた。

「『スキルを披露したい』という感覚がやめられなかったのではないか」と分析。「これだけのスキルがあるなら良い方向に使うべきだった。世間を騒がせ、誤認逮捕された4人に迷惑をかけた責任を認識し、罪を償うべきだ」と訴えた。 また、警視庁などの合同捜査本部に対しては「サイバー犯罪の捜査能力に疑問や批判の声が集まっていたが、一矢報いたといえる。ただ、誤認逮捕をしているのだから、今後も慎重に捜査し、全容を解明してほしい」と要求した。

被疑者が真犯人であるかどうかは、現時点で否認しているということであり、また、警察の持っている証拠の内容もよくわからないので、断定はできませんが、ここまで至るにあたって、

PC遠隔操作、「猫」で新展開…防犯カメラ分析
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20130109#1357708372

昔の防犯カメラ画像は、粗く写りが悪いものでしたが、最近は技術も進歩して解像度が上がり、かつ、防犯カメラの数も格段に増えていますから(プライバシー上の問題はありますが)、それらを警察が徹底して収集し、画像についても技術的に可能な解析処理を行うことで、「真犯人」に迫る強力な手段になっているということが言えるでしょう。
そういった手段に、従来からある聞き込み捜査を組み合わせることで、かなり真犯人に迫ることができる可能性が出てきている、と言えると思います。
ITのスキルを駆使して警察を翻弄した真犯人でしたが、最新の防犯カメラ技術により足元をすくわれ警察の手に落ちる、ということになるかもしれません。

と指摘した点が、捜査としては結実しつつある(真に結実するのは真犯人を検挙できたと断定できる日ですが)ということは言えるように思います。
ただ、江の島の例の猫に接近していたから、被疑者の車が雲取山付近へ行っていたから、というだけでは、真犯人と断定はしにくいでしょう。裁判という場で有罪になるためには、犯行と被疑者との、疑いようがない結び付きというものが、証拠により客観的に裏付けられる必要があります。そういったものを警察が見出しているのか、あるいは、今後の被疑者周辺の証拠物等の捜査により見出すことができるのかは何とも言えませんが、私が上記の記事で、「今後も慎重に捜査し」と言っているのは、そうした点を指しているものです。
逮捕された被疑者と、私が従来推測してきた、20代後半から30代の半ば程度で、エンジニア、プログラマーの仕事をしているか過去に経験があり、匿名掲示板文化にかなり親しんでいて、警察への根強い敵意、反感を持つ男性という犯人像と合ってはいますが、決めつけは禁物で、認定には慎重さが求められるということを、特に警察が失敗を繰り返してきた本件については強く感じます。