イラク殉職外交官の車は今どこに 遺族の意向も聞き、三回忌の後に…

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100327-00000541-san-int

平成15年11月29日、イラクの復興支援を目指していた奥克彦参事官(事件後大使)=当時(45)=と井ノ上正盛三等書記官(事件後一等書記官)=当時(30)=は米軍主催の会議に出席するため、イラクの首都バグダッドから同国中部のティクリートへ向かう車中にいた。
異変が起きたのはティクリート近郊でのことだった。何者かによる激しい銃撃を受けた2人は、車の中でそれぞれ数発ずつ被弾、志半ばで命を落とした。

同省によると、車庫室で保管されていた車は、省内で「使用できない国有財産」として廃車の方向で検討。2人の遺族にも意向を問い合わせたが、保存の希望はなく、廃車に同意したことから、2人の三回忌を迎えた翌年の18年3月、廃車処分となったという。

過去の事件事故、悲劇的な出来事を象徴する物は、全国各地でさまざまな形で保存されている。ただ、実現までに議論が起こるケースも少なくないようだ。

こういった物(建物のような大きな物を含め)は、残すことで亡くなった人を偲び過去を振り返る材料として活用するという方法がある一方で、残せば保管のスペース、費用等がかかり、また、残すことでかえって遺族に悲しい思いをさせるなどの問題が生じる側面もあって、ケースバイケースで考えざるを得ないでしょう。
今は、その物自体を残さなくても、映像等で克明に記録することで、将来、残された記録で振り返るということが、技術の発達でより可能になっているので、そういった方法も、物として残さない場合は十分検討されるべきでしょう。