ロースクールについて(その他の感想2)

それでは、法曹養成制度の改革について、どうあるべきだったか、ですが、私見を述べると、既に述べたような、現行制度の基本的な維持・合格者増加路線(合格者3000名、2年間の司法修習)の中で、

1 法学部教育の改革
 法曹養成に特化した学科やコースを設置し、教員やカリキュラムについて、しかるべき機関の審査により合格した法学部について、「認定法学部」とし、そのような法学部出身であることを、原則的な司法試験受験資格とする。
 認定法学部教育では、抽象的な理論だけにとどまらず、実務上、問題になることが多い論点を積極的に取り上げるとともに、学外から実務家教員を招聘してゼミ等を担当させ、実務家として必要な分析力や問題解決能力等を養成する。
 こういった教育の中で、志望が変わってきたり、適性に疑問が生じた場合は、他の学科やコースへの進路変更を認め、また、社会人を積極的に受け入れる。
 認定法学部以外の法学部では、法律隣接職の養成等を行う。
2 司法試験の改革
 受験資格については、認定法学部卒業を原則とし(認定法学部以外の卒業者については、認定法学部で履修すべき法律科目に関する予備試験を択一の方式で厳格に行い、科目は基本六法プラスアルファとする)、基本的な知識、能力に関する出題をを中心とした択一試験憲法民法、刑法の3科目)により、まず、6000名程度の合格者を選抜し、その上で、論文試験を行う。
 論文試験は、憲法、民・商・民事訴訟法、刑・刑事訴訟法の3科目とし、事例形式で出題し、ある程度時間をかけて解答させるものとする。
 論文合格者は3000名程度とし、司法研修所入所資格を得る。
3 回数制限など
 司法試験受験回数については、制限は設けない(いつ、どのような形で受験するかは各人の事情によるため)。
 司法試験合格者については、司法修習中の2年間及び司法修習終了後の5年間の間に(特別な事情により期限の延長可)、司法試験で出題された基本六法以外の法律科目(著作権法、破産法、行政法など)を、最低2科目履修して単位を取得することを義務づける。

このプランの狙いは、法学部教育を法曹教育に最大限生かすことで、法学部における理論面を中心とした教育、司法研修所における実務面を中心とした教育といった形で役割分担を図るとともに、法学初学者に、法学部の4年間という期間を与えることで(学士入学した社会人の場合も必要に応じ3年以上在学して学習)、それなりに余裕を持ちつつ勉強できる環境を作るといった点にあります。
法律選択科目については、司法試験のレベルでは、やっても身に付かないので思い切って廃止し、むしろ、司法試験合格後に、問題意識を持って学んでもらうことにしたほうが良いでしょう(その意味で、大学は法曹の生涯学習の場にもなるわけです)。
ロースクールは、既に提言したように、10校程度に特化して、法曹の中核となる特に優秀な人材の養成機関とします。

しかし、こういったプランが実現する可能性は、もはや極めて低いでしょう。
次回の「その他の感想3」で、「今、私がロースクール生であれば、どう勉強するか」を考えてみたいと思います。

(続く)