参加しているビジネス書読書会の課題図書に指定されていたので、通読しました。実に難解な本で(元々の原文がそうなのか、翻訳がそうなのかよくわからないのですが)、かなり読むのに骨が折れましたが、何とか読み通しました。
私自身、大学法学部時代以来、会社法も勉強してきて、会社は株主のものであり株主利益を常に最大限に上げるようにすべきであるという頭があります。ただ、その一方で、それだけでは良くない、公のためになる社会の公器でもあるべきだということも、私が会社法を勉強し始めた昭和50年代後半の時点で既に言われてはいました。
本書では、そういった議論を、後者の立場に立ちつつ、株式会社の歴史的な変遷も踏まえながら、精緻に、理論的に論じようとしていて、みっちりと書かれているだけに、読み応えもあり、参考になるものが多々ありました。
ただ、印象としては、株主利益のためだけではなく社会に役立つ存在であるべき、ということは、べき論として言えても、そこを理論的に、本質的な法規範として義務付けていくことは、なかなか難しいようには思いました。各国の実情に応じつつ、実定法の中で、社会的な存在としての株式会社を位置付けて、必要な具体的義務を課すなどしていく必要が、やはりあるように感じられました。
この問題について徹底的に考えてみたい人に向いている本ですが、私は、読んで疲れました(笑)。