日産のケリー元代表取締役に猶予判決 起訴内容の大半は無罪

日産のケリー元代表取締役に猶予判決 起訴内容の大半は無罪(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

東京地裁(下津健司裁判長)は3日、17年度分(約17億円)のみ罪の成立を認め、懲役6月、執行猶予3年(求刑・懲役2年)の判決を言い渡した。10~16年度分については「ゴーン前会長との共謀が認められない」などとして無罪とした。

保釈中にレバノンに逃亡したゴーン前会長については、元秘書室長と共謀して10~17年度に虚偽記載をしたと指摘。計約91億円は前会長の退任後に支払われる「未払い報酬」だったと認定した。

判決は、検察との司法取引に応じた元秘書室長について「不起訴という最も有利な処分を受けている。判断にあたっては信用性を慎重に検討すべきだ」と指摘した。

証拠構造としては、①未払報酬に関する虚偽記載があったことを前提に②それにつきゴーン氏、ケリー氏が秘書室長と共謀し③共謀については司法取引に基づく秘書室長の供述に全面的に依拠する、といったことであったと推測されます。

そもそも①について、客観的に虚偽記載とは認定されないという見方もあったところ(弁護側証人の高名な学者がその旨証言)、そこが認定されたことは検察にとって面子を維持できた形になりましたが、記事でしかわからないものの、おそらく判決では、司法取引に基づく秘書室長の供述の信用性に、かなり疑念を抱いて、各年の虚偽記載の大半について共謀を認定しなかったもので、司法取引を今後、立証上の有力な武器として使いたい検察としては冷水を浴びせられたような面があるでしょう。その点での今後の捜査、公判への影響(検察へのネガティブな影響)はかなり大きいという印象を受けます。

また、本件は今後、控訴審、上告審でも審理されることが予想されますが、上記の①について、法的な評価として、果たして今回の東京地裁判決が維持されるか、即断はできないものも感じられ、今後の進展に大いに注目されるものがあるように思います。