「太平洋戦争への道 1931-1941」

 

 2017年8月に、NHKラジオで行われた対談が書籍化されたということで、早速、読んでみました。

対談者は、いずれも、ジャーナリスト、研究者として昭和史に造詣が深い方々であり、満州事変から日米開戦までの日本の歩みについて、活発な議論が展開されています。この期間を、時系列的に、じっくりと対談で振り返るものは、ありそうでないもので、その意味でも読んで参考になるものがありました。

読み終えて感じたのは、日本が、自らの国力、軍事力に対して過信があったことや、ドイツへの思い入れ、肩入れがあまりに大きすぎたことが、国策を誤り敗戦へとつながったということでした。

1941年の南部仏印進駐が米国により石油禁止措置につながりハル・ノートを経て日米開戦へとつながりますが、米国にも日本を追い込みすぎた面があったにせよ、少なくとも日本が仏印からの撤兵や中国からの撤退を決断できていれば、違った展開があり得たでしょう。また、日独伊三国同盟締結にせよ日米開戦にせよ、ドイツがヨーロッパ戦線での戦勝を維持し対ソ戦でも勝利することを期待してのもので、大きな見通しの甘さがありました。

そうしたことを改めて考える材料にもなり、有益な読書でした。