「情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記」

 

 著者は、もう亡くなりましたが、敗戦時までは元大本営参謀、戦後は陸上自衛隊でも情報畑を歩み、情報のエキスパートとして本書を執筆したもので、最近、久しぶりにアマゾンのオーディブルで最初から最後まで聴きました。

著者の有名なエピソードとしては、台湾沖航空戦の大戦果なるものが事実誤認による幻であることをいち早く見抜いたことや、連合軍による日本本土上陸作戦の時期、上陸場所などを的確に予想したことなど、枚挙に遑がありませんが、著者は、そういったことを一切誇ることなく、負けた戦で起きたことを自慢しても仕方がないという謙虚な態度で一貫しつつ、往時を振り返っています。

具体的な体験談が散りばめられていて、情報というものを考える上で非常に有用な参考になる本であることを改めて感じました。