田中角栄のふろしき 首相秘書官の証言

 

 田中氏の秘書官も務めた小長氏の証言を基にしつつ、田中氏の功績を振り返っているもので、類書では人間性やお金の使い方(生きた使い方、もらい方はともかく)に光が当てられがちなところ、本書では、経済政策への取り組みや外交(特に日中国交回復)に光が当てられていたのが印象的でした。

人間や発想のスケールが桁外れに大きく、良いことも悪いことも(悪かった代表的なものが金脈問題やロッキード事件になるでしょう)、ダイナミックに展開し、昭和の大政治家というにふさわしい人物ということを、改めて感じました。

日本にまだまだ伸び代がある、良い時代の政治家とも言えるのではないかと思われ、今、田中氏がこの世にあれば、日本にどういう評価を下し、何を実行しようとするでしょうか。聞けるものなら、是非、聞いてみたいところではあります。