名簿に順位がない非拘束名簿式
参院選の比例代表選挙は「非拘束名簿式」になっていて、衆院選の「拘束名簿式」とは異なっています。衆院選では、政党が提出した候補者名簿に順位がつけられていて、この順位に従って当選者が決定します。5名当選なら、上位5名が当選というわけです。しかし、参院選で提出される名簿には、順位がついていません。では、当選者はどうやってきめるのでしょうか。
まず、有権者は政党名か、候補者名簿にのっている個人名か、どちらか1つを選んで投票します。これは、投票所の投票用紙に書くところまで行ってから決めてもかまいません。政党の各得票数は、政党名の票に、その政党の候補者名簿の個人名を書いた票を合わせたものになります。こうして、政党の議席が決定します。
今度は、個人名を書いた票を集計します。そして、この票を多く獲得した候補者から順に、当選していきます。5名当選なら、個人票獲得票数の多い上位5名が当選するというわけです。
最近、皆さんがご存知の状況の中で、「順位は何番になったのか?」という質問を受けることがかなりあるのですが、現在の参議院選挙の仕組みは、かつての、政党が順位をつけておき上から当選していくというものではなく、上記の記事にあるようなものです。従って、ある人が、「日本パンダ党」という政党の参議院比例候補者になったとして、その人を当選させたいという人々が、いくら「日本パンダ党」という名前で投票しても、それは、日本パンダ党の票にはなっても、上記の記事にある「政党名簿の中で、自分の名前が書かれた票を多く獲得した順に当選が決定」する、その票(「その候補」の票)にはならないということになります。
参議院比例の場合、多くの人々は、政党を選択して政党に投票するという意識で臨んでいるはずで、それを、候補者名を書かないと当該候補者の票にはならない、というのは、元々無理がある制度と言えるでしょう。
こういう仕組みでは、大きな組織の支援を受けられるとか、大きな知名度を持っている人が有利になる一方で、そうではない人はなかなか当選できにくくなります。そのような人でなくても、各政党が、この人には国政の場で働いてほしいという人がいるはずで、そういう人はなかなか出にくい仕組みになっています。個人的には、わかりにくさも含め、改善、改革の余地があるのではないかと感じるものがあります。