告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実

告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実

告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実

NHKスペシャルで放映した番組を書籍化したものですが、これを読みながら、以前に録画しておいてまだ観ることができずにいた番組のほうも視聴しました。
当時、カンボジアPKOが大きなニュースになっていたことや、日本人の民間人、警察官が死亡したことも記憶の中には残っていましたが、きちんと当時の状況を読んだことがなかったので、勉強になりました。
感じたのは、紛争地帯には日本人関係者を出さない、紛争が再燃すれば帰国させるという「建前」は、実際に現地でそういった業務に従事している多数の国々の人々の中に入ってしまえば、正に建前となってしまい、現場を離れることが、日本の威信に関わるとか逃亡に等しいと言われてしまう、そのしわ寄せは現場へとしわ寄せされてしまうということでした。正に、そうなってしまい、現場に犠牲が出てしまったのがカンボジアPKOでしょう。
本書で紹介される、当時の関係者の声も、現場で苦労していた人々は、今なお、彼らをそのような窮状に追い込んだものへの怒りや怨嗟に満ち溢れていますが(当然でしょう)、彼らをそのような状況に置いた人々のほとんどは、あれはやむを得なかったというトーンで語っており、今なお残る温度差、落差が印象的でした。
国際貢献の美名の下に、こうした業務は、我が国においても今後ますます拡大する流れになっていますが、関係者の安全確保の重要性は常に念頭に置かれるべきですし、危険性、リスクといったことは、包み隠さず現場で動く人々に知らせておくことも必要であろうと思います。
建前、美名に流されて物事を進める前に、必ず読んでおくべき1冊という印象を強く受けました。
最後に、現地で献身的に活動する中、非業に倒れた方々のご冥福をお祈りします。