収監逃れ、疑惑解明遠く 京都府立医大強制捜査1ヵ月

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170314-00000002-kyt-l26

京都新聞社が入手したこの回答書によると、検察側は、病名や治療状況、入院の必要性など13項目について質問している。病院側は病名を「移植腎拒絶反応」とし、拘禁に耐えられない理由に「BKウイルス腎炎の併発で、免疫抑制療法の厳重な調整を継続する必要があり、改善に2年を要する」などと記載。治療に必要なものとして、免疫抑制剤血中濃度の測定装置や、血中・尿中ウイルスの定量検査などを挙げている。

捜査関係者によると、収監を巡り、大阪高検が病院などから取り寄せた診療データなどを基に府警が昨年、捜査を開始。複数の医師に分析を依頼し、高山受刑者が当時、収監に問題ない健康状態だったとの見解を得たという。

院長の代理人弁護士は、複数の専門医に独自に見解を求め、拘禁に耐えられないとの判断が妥当だったとの意見を得たといい

こういった医師による判断が問題となる刑事事件は時々ありますが(例えば治療費の不正請求など)、事件として有罪のレベルにまで達するのは、治療自体が架空だったとか、元になるデータを意図して偽るなど、分かりやすい作為、虚偽が介在するケースであるのが普通で、医師が見て、ある人は黒だと言い、ある人は灰色だと言い、ある人は白色だと言うような、人により判断が分かれるような場合には、なかなか虚偽性を立証するのが難しいものです。難しいだけに、立証するためには、それなりに決め手になる証拠が必要になるのですが、これだけ時間がかかっているということになると、捜査機関がそのような証拠まで握っているとは考えにくいという印象も受けます。
ただ、特に京都府警としては、立件、起訴にまで至らなくても、暴力団と病院の関係にそれなりにメスを入れ世間の注目を集め、今後、病院が暴力団と結託して収監逃れを図ることを難しくしたという意味で、事件として手がけた意味はあると考えているかもしれません。捜査機関、特に第一次的捜査機関である警察にとって、事件化すること自体に意味があり効果が出る(警察として考える意味や効果)という場合もあって、それは、時には無理な立件で関係者が無用な不利益、負担を被る恐れがあるということでもあります。刑事事件というものはそういう怖さも持つものです。本件についても今後の動向に注意しておく必要があるでしょう。