中国「秘密裏の死刑」の実態 日本人7人目執行…手紙でSOS、無罪主張かなわず

http://www.sankei.com/west/news/170112/wst1701120099-n1.html

男性は中国語をほとんど解さなかった。それでも被告人質問以外に通訳はつかず、やりとりを十分に理解できないまま、どんどん審理が進んだ。手紙をもらった弁護士は現地に乗り込んだものの、男性と直接話をする機会は与えられず、もちろん死刑を覆すこともできなかった。

中国で死刑とされた日本人7人は、いずれも覚醒剤に関する罪に問われた。日米英での薬物犯罪の最高刑は無期懲役だが、中国は厳罰で臨んでいる。王教授は「アヘン戦争の経験から、薬物事件は中華民族を滅ぼしうる重大な行為と捉えられている」と話した。

誰でも気軽に海外へ行ける時代になっていますが、その陰ではこういう危険もあるということを強く認識すべきでしょう。実際に犯罪を犯す気で犯したものが発覚したのであれば自業自得ですが、薬物犯罪の場合、知らぬ間に「運び屋」に仕立て上げられるということも十分あり得ますし、例えば預け荷物の中に勝手に薬物を入れられて、といったことも、単なる抽象的な可能性ではなく現実にあり得ます。密輸組織は様々なルートで薬物を運搬しようとしているものであり、運び屋は使い捨ての駒のようなものでしかありません。安易に協力することの危険性は常に念頭に置いておく必要があります。
薬物に対する考え方、取り締まりは、欧米よりもアジアのほうがより厳格な面があります。これは、上記の記事にもあるように、中国がアヘンで国自体が滅亡しかけたといった歴史上の体験にも基づくものでしょう。
日本人が海外で刑事事件の被疑者になった場合、その地の日本の在外公館が保護に動いてくれることにはなっていますが、日本の在外公館は概してそういった活動に熱心ではないと言われていて(もちろんケースバイケースであり熱心に動いてくれる場合もあるとは思いますが)、それだけに要注意であるとともに、日本の外務省も、刑事事件における邦人保護体制をより強化していく必要があると思います。
そういったことを、記事を読みあれこれ考えていました。