映画「われらが背きし者」

http://eiga.com/movie/81815/

イギリス人大学教授ペリーと妻のゲイルは、モロッコで休暇中にロシアンマフィアのディマと偶然知り合う。ディマから組織のマネーロンダリングの情報を聞いたペリー夫妻は、1つのUSBメモリをMI6に渡してほしいとディマに懇願され、突然の依頼に困惑するが、ディマと彼の家族の命が狙われていると知り、その依頼を仕方なく引き受けてしまう。それをきっかけに、ペリー夫妻は世界を股にかけた危険な亡命劇に巻き込まれていく。

原作の翻訳を買って、ちょっと読みかけたままになっていたのですが、移動中の飛行機内でリストに入っていて、先に映画を観るのも悪くないなと思い観ました。傑作、まではいかないですが、なかなかの秀作だという感想を持ちました。
あらすじは上記のようなものですが、観ていると、冷戦後のMI6などの諜報機関の「敵」が、様々に分散化していることを改めて感じさせられます。確かに、そういう戦いの場に、本来は無縁なはずの一般人がひょんなことから巻き込まれるということも、あっておかしくはなく、そういう巻き込まれ方をしたらこうなることもある、ということも、観ていて興味深いものがありました。
組織犯罪やテロへの対策、それも世界的なそれの必要性が繰り返し指摘されていますが、共謀罪に関する従来の論議にありがちだった、法律があれば防げるといった単純な、脳内お花畑的なものでは駄目で、取り組む組織や人、さらには必要なお金(予算)がしっかりとしていることが、まずは必要なのだということも、この映画を観て改めて痛感しました。
ジョン・ル・カレのファンとしては観て押さえておくべき作品でしょう。小説のほうも読んでみたいと思いました。