「ロッキード事件」(NHKスペシャル「未解決事件)

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ロッキード事件」には多くの謎が残されている。米・ロッキード社製の旅客機トライスターの売り込みをめぐり、日本の政財界に巨額の賄賂がばらまかれたとされる事件。ロ社の代理店・丸紅を通じ田中前首相に5億円が渡ったとされ、田中前首相は逮捕。裁判の一審二審で有罪判決を受けた。しかし、捜査にあたった特捜部が「重要視」していた21億もの巨額なカネの行方はついに解明されなかった。ロッキード事件の「全貌」とは何だったのか?

今夜、実録ドラマ前編・後編を観たのですが、なかなかよくできていて、興味深く観ました。当時の、今の東京地検になる前の東京地検(現在の弁護士会館の場所にあった)の内部や、今の東京拘置所になる前の東京拘置所内の取調室が、克明に再現されていて、驚きつつ当時を懐かしく思い出しました。旧東京地検の中には、「二重廊下」と言われている内側の廊下があって、各部屋がその内廊下に面し部屋への出入りや部屋間の行き来がわからないようになっていたエリアがあったのですが(特に特捜部)、そこが実にうまく再現されていて感心しました。
ロッキード事件は、それ単体として見るべきではなく、ロッキード社による軍用機及び民間機売込工作の中の一部であるということは、捜査、公判、特に公判当時から既に指摘されていたように記憶しています。上記の番組を観て、3ルート(児玉、丸紅、全日空)のうち児玉ルートの解明が、児玉誉士夫の病気や重要参考人の病死といったこともあり進まなかったことが、未解明の部分を多く残してしまったと言えることを改めて感じました。主任検事だった吉永氏が、そのあたりをどのように考えていたのか、既に亡くなり聞くことはできませんが、聞いてみたかったという気がします。今回の企画では吉永氏の手元にあった資料がかなり使われたようですが、そこから同氏の考えていたことが新たに何か読み取れるのでしょうか。強い興味を感じます。
田中角栄ブームが、最近、起きていますが、元首相は、戦後の日本が生んだ、戦後の日本政治の様々な面を体現する政治家でした。「金」を前面に押し出して物事を推し進めていく、その手法は、金権として批判され金脈問題として追求されて、その中にあったのがロッキード事件であったと言えるでしょう。田中的なものとロッキード事件も、やはり密接なつながりがあったのであり、ロッキード事件で政治家・田中角栄は大きくつまずき、その後に「闇将軍」として君臨はしたものの表へと出ることはなく、やがて病に倒れこの世を去りました。
そうした、大きな歴史のダイナミズムのようなものも感じつつ、明日の続編も観てみたいと考えています。