ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

オンライン決済サービス・ペイパルの初期メンバーとして繋がりが深く、現在もシリコンバレーで絶大な影響力を持つことから「ペイパル・マフィア」とも呼ばれる彼らは、ご存知ユーチューブ(YouTube)をはじめ、電気自動車のテスラ・モーターズや民間宇宙開発のスペースXからイェルプ(Yelp!)、ヤマー(Yammer)といったネットサービスまで、そうそうたる企業を立ち上げてきた。
本書はそのペイパル・マフィアの雄、ピーター・ティールが、母校スタンフォード大学で行った待望の起業講義録である。

参加している勉強会の課題図書に指定されていたので、気合いを入れて一気に読み通しました。上記の紹介にあるように、この分野で大きな成功をおさめてきた著者による講義録で、私のような門外漢にも、実体験に基づいた知見には、なるほど、と思わせるところがいろいろとあって、久しぶりにおもしろく読めたビジネス書でした。
特に印象に残ったのは、著者が、競争のあるところに参入することを強く戒めていることで、これにはなるほどと思わせるものがありました。競争が参加者を疲弊させ、得られるものをどんどん少なくして行く、そのことを十分に理解して、他人がまだ手をつけていない、前人未踏の場にこそ(というものが見つかれば、ではありますが)大きな成功につながるものがある、ということを強く感じ、大きな成功までは 望めなくても、過当競争の中に安易に身を投じないようにする必要性を感じました。
単に、狭く起業の手引書であるだけでなく、仕事を進め方を考える上で示唆に富むものがあると、読んだ後に改めて感じました。