司法試験漏洩事件、明大大学院に家宅捜索 地検特捜部

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150909-00000037-asahi-soci

教授は、5月に実施された司法試験では、論文試験のうち憲法に関する問題の作成などを担当。800点満点のうち担当した1問(100点)の内容を、同大学院を修了した教え子の20代女性に事前に漏らした疑いが持たれている。

私が受験したのは、今から30年ほど前の旧司法試験でしたが、極めて厳正に行われている試験、という印象で、実際にそのように運営されていたと思いますし、そこに疑問を持つ受験生はいなかった、という記憶ですね。例えば、司法試験考査委員で、親類等の身近な人が受験する際には、その間、考査委員を退くということが実際に行われていましたし、答案の記載で誰かが特定されるようなことを書くと、特定答案とされ無効になる、ということで、そういう答案にならないように、受験する身としても神経を使っていたものでした。試験を運営する側も受ける側も、ぴりぴりした緊張感の中にいた、という感じでしたし、そういったことは、新司法試験でも特に変わってはいないと私は認識していましたから、こうした前代未聞の不祥事(というだけでなく歴とした「事件」ですが)が発覚して、開いた口がふさがらないという感じでひたすら驚いています。
基本的には、引き起こした本人の問題であろうとは思いますが、例えば、昔の司法試験は「落ちるのが当たり前」であったのが、今は、低い低いとは言われつつも受験者の2割、3割程度は合格できる試験になり、多額の費用も投下して何とか合格したい、という人が無理をしても何とか、という、言葉は良くないですが、悪あがき的なものがが生じやすい側面が昔よりは出てきているかもしれません。司法試験考査委員の数も、昔よりは増えているはずで、質の悪い考査委員が混じってしまう可能性が大きくなっているという側面もあるでしょう。
改善策としては、法科大学院の教員は考査委員にしない、ということも考えられますが、法学教育に従事していれば、法科大学院に所属していなくても受験生と接する機会は出てくるもので、最終的には本人の自覚、自律がないと、こういった漏えいを防止することは難しいと思います。完全な再発防止策が見当たらず、どうにも困った事態が起きてしまったなと感じざるを得ないものがあります。