<訃報>田中森一さん71歳=元特捜部検事、元弁護士

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141122-00000040-mai-soci

長崎県出身。岡山大在学中に司法試験に合格、1971年に検事になり、東京、大阪両地検の特捜部で撚糸(ねんし)工連事件や平和相互銀行事件を手掛けた。バブル全盛期の88年に弁護士に転身し、経済事件の被告や暴力団関係者の弁護人を務めた。

07年には自身の半生をつづった「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」(幻冬舎)を出版し、ベストセラーになった。刑務所を出た後は講演活動などをしたが、14年春に胃がんの手術を受け、闘病生活を送っていた。

私は、生前の田中氏に会ったことはないのですが、若い頃に勤務していた地検での上司が、田中氏と大阪地検特捜部で一緒に仕事をしたことがある人で、飲み会の席などで田中氏の逸話を随分と聞かされたものでした。その当時は、私もまだ若く、ただただ、すごいな、そういう仕事のできる検事になりたいと思ったものでした。
ベストセラーになった

反転―闇社会の守護神と呼ばれて (幻冬舎アウトロー文庫)

反転―闇社会の守護神と呼ばれて (幻冬舎アウトロー文庫)

を読み、どこまで本当かよくわからないところや田中氏特有の自慢、誇張も含まれているような気がしつつも田中氏の考え方や歩み、手法がよく出ていると感じました。最近出た、

は、まだ、少ししか読んでいないので、田中氏逝去を機にじっくり読んでみたいと思っています。
田中氏の特徴を私なりに整理すると、貧しさから身を起こしたことからくるバイタリティや反骨精神、天性の人間的魅力や優れた感覚・実務能力、スケールの大きな人間にありがちな脇の甘さ、といったことではなかったかと思います。前2者が、田中氏をして、優秀な検事にのし上がらせ辞職後は「闇社会の守護神」とまで言われるやり手の弁護士に押し上げ、そして、最後の点が、田中氏に墓穴を掘らせることになった、そういう印象を受けています。どこかの時点で早めに、どろどろとした、ホットな部分からは距離を置く、そういうスタンスで臨むようにすれば、弁護士バッジが飛んだり服役する、さらにはこうして早世するということにならなかったのではないかと思いますが、そうすることができなかったところが、田中氏らしさだったのかもしれません。
田中氏らしく、あの世で、故・吉永元検事総長らに律儀に挨拶に行っているかもしれないなどと思いつつ、ご冥福をお祈りします。