<裁判員裁判>「強盗と名指しの供述信用できない」無罪判決

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141121-00000115-mai-soci

男性は、2009年7月に東京都江戸川区の民家に仲間の男2人と宅配業者を装って侵入、住人女性の顔を殴るなどして約1300万円の現金などを奪ったとして起訴された。
公判で男性は「身に覚えがない」と起訴内容を否認。事件後に自首して男性の関与をほのめかした男(28)=今年5月に有罪判決=の供述の信用性が争点となった。
判決は、男が「暴力団からの報復を恐れて男性を実行犯に仕立て上げた可能性があり、供述は信用できない」と指摘し「他に男性を犯人と認められる証拠はない」と判断した。

こういった共犯者供述は、昔から「引っ張り込みの危険」と言われているように、様々な思惑(自らの刑を軽くしたい、真犯人を隠したい等々)や予断に支配された取調官からの強制、圧迫などで虚偽に走りやすく、それだけに冤罪を生み出しやすい性格を持っています。自らの体験供述に、ありもしない「共犯者」を交えて話すことで、具体的、詳細な、まことしやかなものになりやすく、それだけに厄介なものですし、真実の供述との区別が難しくなります。
上記の事件の証拠関係がわからないのでその当否はわかりませんが、従来の職業裁判官のみによる裁判では「検察ストーリー」に沿い、共犯者供述の批判的な検討、検証がなされにくかったところが、裁判員裁判になり変化が生じてきているのかもしれないという印象は受けます。興味深い判決だと思います。