http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140801-00050108-yom-soci
県関係者によると、児童相談所などが統合されてできた県佐世保こども・女性・障害者支援センターに6月10日、少女を診察していた精神科医が電話で相談を寄せた。実名を名乗り、少女が猫の解剖をしたり父親を金属バットで殴ったりしていること、小学校時代に同級生の給食に異物を混入したことがあることを伝え、「人を殺しかねない」と相談した。少女の名前は明かさなかった。少女は女子生徒を7月26日夜に殺害した容疑で、翌27日に逮捕された。センター側は「相談者には助言した。できる限りの対応はした」と説明するが、少女を特定したり情報を県や県教育委員会、県警に連絡したりといった具体的な対策を取っていなかった。県教委は「もっと広い範囲の情報共有のあり方が今後の課題だと強く感じる」と話す。
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律などを読んでみたのですが、刑事事件を「起こした後」の人に対する措置はそれなりに用意されているものの、「起こす前」の人に対する措置はいかにも手薄ですし、問題を起こしそうな人の最も身近にいる、上記のような担当医が、危険を予測した際に何ができるか、というと、制度としては現実的にかなり乏しいのが実状だと思います(守秘義務や患者との信頼関係という問題も大きく存在します)。
この問題を、単純に、「相談を受けたが放置した」と表面的に捉えてしまうと、こうした事態が今後生じた場合にどうすべきか、制度上の改善点は何か、といった重要な問題点が置き去りにされかねないことが危惧されます。
守秘義務、患者との信頼関係を上回る、より大きな危険への対処の必要性がある場合に、制度としてこういう措置が取れ、関わった担当医等が責任を問われない、といった制度にしておかないと、今後も、こうした悲劇が生まれ取り返しがつかない事態になりかねない、と思います。情報を共有することも重要ですが、具体的な差し迫った危険が現に存在している場合の、人身保護の措置が講じられる制度、という観点に立った改革を検討、実現する必要性を痛感します。