山本太郎議員の行動、識者の見方は 園遊会で陛下に手紙

http://www.asahi.com/articles/TKY201311010580.html

明治学院大の原武史教授(政治思想史)は、「今回の行為を政治利用と言ってしまうことには違和感がある。警備の見直しについても議論されるなど大げさになっており、戦前の感覚がまだ残っていると感じる。政治利用というならば、主権回復の日の式典に天皇陛下を出席させたり、IOC総会で皇族に話をさせたりした方がよほど大きな問題だと感じる」と話した。

昔、園遊会の何かの場で、招かれていた棋士天皇陛下に、日の丸を掲げ君が代を歌う運動を進めています(正確には記憶していませんがそうした発言でした)と「奏上」し、陛下から、強制は良くない、という趣旨のお言葉があった、という出来事がありましたが、その棋士が陛下を政治利用した、という批判は特にありませんでしたね。そうした奏上に対して激励のお言葉でも発していただこうとしたのではないか、政治利用しようとしたのではないかという批判もあり得たところではあったでしょう。
天皇皇后両陛下、皇族の方々は、様々な場にお出ましになり、様々な国民と接しておられます。現在の日本国憲法下では、天皇皇后両陛下や皇族の方々に、政治的なメッセージを送ったり願い出る、といった行為は、他に様々な手段もあり、政治とは距離を置くべき存在である方々に対するものとして不適切、不謹慎でもあって厳に慎むべき、と思います。その意味で、山本議員の行動には賛成できませんし(パフォーマンス的な性格が垣間見えるのもいただけません)、反省もすべきだと私は考えています。
ただ、特に天皇陛下に対し、国民の実情を知っていただきたい、知っていただくことで、より良い方向へとつなげたい、大御心にすがりたい、という思いで、つい、ダイレクトな行動に出てしまう、ということは、天皇陛下皇后陛下やその他の皇族の方々も含め)が国民のことを親身に考えて下さっていればいるほど、思いが高じてやってしまいがち、とも私は思います。上記の棋士の発言も、そういう観点で見るべきで、発言したこと自体を、私はとやかく言う気はありませんし、それに対して率直にお言葉をかけられた天皇陛下にも、国民のことを考えてこそのお言葉であったと思います。
そのようなダイレクトな行動も含め、広く温かく受け止めていただける存在を、日本国民は日本国統合の象徴として持っているのであり、軽率な行動ではあってもそうした存在に思わず飛び込んでしまったという行動は、広い心を持って見てやるべきではないか、という感想を持っています。映像を見ても、山本議員が天皇陛下をないがしろにしたようなところはなく、同議員なりに尊皇の心を持って(いるように見えつつ)天皇陛下に手紙を渡し、天皇陛下も笑顔で余裕をもって接し、手紙はすぐにそばにいた侍従長に渡されていて、まったく「政治利用」されておらず、これを政治利用と騒ぎ立てること自体、天皇陛下に対する不敬な言動にもなりかねないものがあります。天皇陛下は、この程度のことで政治利用されるような方ではありません。
このハプニングを契機に、自分たちがやってきたことを棚に上げて(上記の引用コメントで指摘されているような)、山本議員を追い込み政界から排除してしまおうという動きがありますが、多くの有権者により支持され当選した国会議員の進退については、まずは本人と国民が考えるべきでしょう。