クローズアップ2013:JR北、異常放置 特異な企業体質、背景 補助金漬け、責任あいまい 採用抑制、中核世代少なく

http://mainichi.jp/opinion/news/20130925ddm003040114000c.html

国鉄が旅客6社・貨物1社に分割・民営化されたのは1987年。このうちJR北海道は他社に比べ過疎地域を走る路線が多く、除雪などに膨大な経費がかかり、経営基盤は弱い。このため、国は経営安定基金という「持参金」をもたせ、その運用益で赤字を穴埋めしてきた。
ただ、その基金も近年の金利低下の影響を受け運用益が減少。

ほぼ同じ営業キロ数のJR九州は営業黒字(2012年度末現在)を確保しており対照的だ。

赤字経営は人材確保にも影響し、1980年代に採用を大幅に抑制。5月現在で社員約7000人のうち最も多い50代は37・7%。次いで民営化後に入社した20代が27・4%。現場の責任者になるべき40代は9・5%と極端に少ない状況が続いている。

国鉄には様々な問題があり、そうであるからこそ分割民営化されたわけですが、振り返ると、全国を単一の組織が統括していたことで、安全性という鉄道の本質に関わる点について地域的な偏りが生じることは避けられていた、ということは言えるでしょう。JR東海のような、東海道新幹線というドル箱路線を持ち自前でリニアモーターカーまで走らせようとする会社が生じる一方、JR北海道のような、万年赤字で中核となるべき人材も不足するという会社を生じさせてしまった、分割民営化が持っていた本質的な問題が、四半世紀という時の経過を経て、北海道民や北海道へ行ってJRを利用する国民の生命、身体に対する直接的な脅威として降りかかってきたということを感じます。
上記の記事でも指摘されているような、組織の問題を、一朝一夕に克服することは難しいでしょう。しかし、鉄道は1日として止まることは許されず、動き続ける宿命を持つものです。単に、JR北海道を責めて溜飲を下げることで終わるのではなく、現状の、安全性に関する問題を早期に克服するために、例えば、JRグループ全体から人を出して北海道に投入するとか、必要な予算を国費から投入するなど、非常の措置を、断固たる決意で講じる必要があると思います。安全面については、JR各社を横断的、網羅的に監察する機関を作り、問題があれば国土交通大臣に直接報告、進言するような仕組みも積極的に検討されるべきではないかとも思います。重大な事故が発生し死傷者が出るような事態が生じる前に、早急に効果的な手を打つことが急務であると痛感します。