コンサートの落雷で死亡 エイベックス子会社など提訴

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130731/trl13073112200001-n1.htm

大阪市長居公園で昨年8月、人気アーティスト「EXILE」らが出演する野外コンサート「a−nation」に訪れた客2人が落雷で死亡した事故で、北九州市の女性=当時(22)=の両親が30日、イベント運営会社「エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ」(東京)など2社に計約8200万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。両親は、避難誘導などの安全対策を怠ったと訴えている。

原告側は、2社に来場者の安全を確保する義務があったと主張。「前日から雷注意報が出ており、落雷事故を予測できたのに対応をとらず、来場者を早期に安全な場所に誘導することもしなかった」などとしている。

お気の毒としか言いようがない事故ですが、「事件」として見た場合、なかなか微妙な問題をはらんでいる、という印象を受けますね。コンサートを主催するにあたり主催者側は、何らかの約款のようなものをあらかじめ準備してそれに則った処理をしようとしていた可能性がありますが、こうした、安全面について、どこまでカバーしていたかが問題になりそうです。また、そこでは「自己責任」がうたってあったとしても、コンサート開催後には参加者はコンサートの場に置かれるわけですから、そういった事情も踏まえて主催者側に一定の安全配慮義務が課されるのではないかも問題になり得ます。とは言え、主催者側にあまり高い義務を課すのも現実的ではなく、義務を課すにあたっては、危険の現実性、具体性を要する、とすることにはなりそうで、本件では理論面、事実認定面の双方で微妙な論点が出てくるように思われます。
判決にまで至れば、こういったケースについて今後の参考になる裁判例になるでしょう。