「原告女性は下ネタ許容性高い」性生活聴取PTSD訴訟で言い放った被告・和歌山県警の“見識”

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130722/waf13072207010016-n1.htm

“炎上”必至の弁明だった。和歌山県警の参考人聴取で性生活をしつこく聴かれ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したという大阪府内の30代女性が大阪地裁に起こした損害賠償請求訴訟で、被告の県側が驚くような内容の答弁書を陳述した。

さらに県側は、こうも言ってのけた。
「下ネタ話への許容性も高いだろうし、男に対する見識もそれなりのものがあるだろう」

取り調べ問題に詳しい元検事の落合洋司弁護士(東京弁護士会)は「訴訟の焦点は、刑事の言動が女性に精神的苦痛を与えたかどうか。今回の聴取が正当な行為というなら女性の職業は関係ないはず。県側には、職業を持ち出さざるを得ないような後ろめたさがあるのではないか」との見方を示す。
その上で、「下ネタ話への許容性が高い」とした点について、「相手が飲食業の女性なら卑猥な質問をしてもいいと思わせる極めて不適切な表現で、見識が疑われる。権力行使のあり方が問われている訴訟にもかかわらず、県側は問題の所在を理解していないようにうかがえる」と批判した。

この問題については、

和歌山県答弁書に「下ネタ許容性高い」
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20130709#1373334486

でもコメントしましたが、被告代理人が記事内でコメントしているように、精神的苦痛(損害)に関するものというであれば、その点を明確にした上で、節度を持って主張すれば済むことで、そうであっても、過去の職業を引き合いに出して「下ネタ話への許容性も高いだろうし、男に対する見識もそれなりのものがあるだろう」という物言いは、裁判所の受け入れるところになるか、甚だ疑問ですね。
こういった物言いの背後には、飲食業、特に、男性を相手にするような形態のものに従事する人は、下ネタへの許容性が高い、男に対する見識もそれなりのものがある、といった、バイアスのかかった見方、蔑視があると思います。そういう、バイアスのかかった見方や蔑視を背景にした、少なくともそのように取られる可能性が高い主張を、果たして、訴訟という場で展開して良かったのかどうかについて、慎重な検討が欠けていたと言われても仕方がないでしょう。
訴訟で熱くなってくると、感情的になったり、とんでもないことを口走ったりする、ということは往々にしてあることで、私も、そういったことがないよう注意していますが、こういう悪例を反面教師としてますます注意しなければと思いました。