Winny開発者・金子勇さんが死去

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1307/07/news006.html

金子さんは1970年7月生まれ、栃木県出身。茨城大学大学院、日本原子力研究所などを経て、東京大学特任助手だった2002年5月にWinnyを公開。04年5月、著作権法違反ほう助容疑で逮捕・起訴されたが、11年12月に最高裁で無罪が確定した。技術者が開発したソフトやサービスについて負うべき責任の範囲などについて大きな議論になった。

本ブログの最初のエントリーは、Winnyに関するもので始まりますし、私自身、Winny公判は何度か傍聴し、高裁での逆転無罪判決の宣告の時にも法廷で傍聴しているなど、強く関心を持って見てきましたから、この訃報には驚きましたし、残念な思いを強く持たざるを得ません。
インターネットが大きく普及し、その中で、生まれた技術、ソフトが良くも悪くも大きな影響力を持つようになって、悪用されるような技術が、ソフトが悪い、それさえなければ、という大きな圧力がかけられやすい状況が、今なお大きく存在していると思います。もちろん、それに対抗する力も働いてはいるわけですが、その狭間で起きたのが、Winny事件であり、有罪から無罪へと裁判所の判断が大きく変わったのも、そういった「狭間」を象徴するものであったと思います。結局、多くの人々の尽力、協力で、金子氏は無罪になり、日本における技術、ソフトの開発が暗黒の中に落ちて行くことは辛うじて避けられたわけですが、激動の中で、金子氏自身にかかったストレスには多大なものがあったものと推察され、それが、こういった悲しい結果へとつながったのではないかという気がしてなりません。
その能力は、社会のため、日本だけではなく世界のために生かされるべきでしたが、もう、それはできなくなってしまいました。その遺志を継ぐ人々が、今後、続々と出てくることを、私は願わずにはいられませんし、おそらく、金子氏もそれを強く望んでいるでしょう。御冥福をお祈りします。