不法に被害者を監禁し、その結果、被害者に外傷後ストレス障害(PTSD)を発症させた場合について、監禁致傷罪の成立が認められた事例

最高裁第二小法廷平成24年7月24日決定(判例時報2172号143ページ)です。
最高裁は、PTSDを、刑法上の傷害と認める、という判断を示していますが、判例時報のコメントが指摘するように、傷害の意義を「生理的機能の障害」と解することには異論がない中で、PTSDであると証拠上認定できる場合に、これを傷害と見ないほうがむしろ不自然、不合理ではないかと私は思います。既に下級審ではPTSDを傷害と認定する判断が次々と出ていますが、最高裁がそれを追認したことは、今後の実務上も影響が大きいでしょう。
ただ、PTSDは、精神上の障害で、目には見えないものですから、発症が認められるかは、医師による適切な診断に基づいて慎重に認定される必要があり、安易な認定に陥ることは強く戒められる必要がある、ということも痛感します。