取り調べDVD:映像提供問題 識者の話

http://mainichi.jp/select/news/20130624ddm004040033000c.html

◇検察に便利な禁止規定−−検察官出身の落合洋司弁護士(東京弁護士会
今回のケースは誰の権利も侵害せず、審理の公正も害していない。形式的な法令違反はあったのかもしれないが、国民に取り調べの状況や可視化の重要性を知らせるという公益上の必要性は大きい。
現行の目的外使用禁止規定がある限り、弁護士が事件の問題点を世に問いたいと考えても、報道機関など第三者に証拠を見せることができない。一方で検察は、捜査や公判立証への批判を封じるため、この規定を嫌がらせや圧力として便利に使うことができる。法廷で調べられた証拠は社会の共有財産という側面もある。プライバシーへの配慮は必要だが、現行の規制は過剰であり、正当な目的による提供は許容するよう法改正すべきだ。
NHKが放送を取りやめたら、DVDを提供した弁護士、提供を了承した元被告の意思を無にすることになる。NHKは悪法と闘う勇気を持たねばならないと思う。

これについては、先日、

<NHK>取り調べ映像の「クローズアップ現代」放送延期
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20130609#1370773308

とコメントし、毎日新聞の取材に対しても同様に答えたものでした。
日本の場合、裁判を「秘め事」のように捉える傾向が今なお強く、証拠についても、特に刑事裁判では、検察庁が握ってなかなか開示せず、法廷で取調べられた証拠ですら、現状では、上記のような過剰なしばりの下に置かれています。そういった、現行のグローバルなレベルからは落ちこぼれてしまっているところは、指摘されて「シャラップ!」などと激怒し失笑をかうのではなく、率直に認めて改善すべきは改善するよう努める必要があるでしょう。もちろん、裁判制度には、その国、社会に根差した、ドメスティックであってやむをえない面もありますが、正義、公平の観念や人権尊重の必要性には、グローバルに共通するものがあるはずで、そういった基本的なところで、諸外国から疑問を持たれるような点は、やはり、どこかおかしい、という意識を持ちつつ見る必要があると思います。