なぜヤフーのマリッサ・メイヤーは、ネットポータルに回帰するのか

http://wired.jp/2013/06/02/marissa-mayer-makes-portals-fashionable/
http://wired.jp/2013/06/02/marissa-mayer-makes-portals-fashionable/2/

誰もが知っているとおり、ヤフーには全世界を支配するFacebookのようなソーシャルネットワークはない。Google+のようなまあまあのサーヴィスすらない。だから、ヤフーはさまざま場所(FlickrやYahoo Mail、Yahoo Financeなどなど)に分散するユーザーの情報をかき集めなくてはならない。また、新たなサーヴィスを追加することで、このユーザー情報の蓄積をさらに拡大させることへのインセンティヴもヤフーにはある。Tumblrには、若くてコンピューターに詳しいユーザー層がどんなことに関心を持っているのかがわかる貴重な情報がある。またSummlyには、モバイル端末のユーザーが関心を持つニュースについての情報がわかるデータがある。今後Huluの獲得に成功すれば、同サーヴィスの契約者がどんな番組を好むかなどに関する知見を手に入れられることだろう。そして、こうした情報源はヤフーの広告配信先としても役立つことになる。

この記事で、見落としていると感じるのは、いくら、いろいろなサービスを買収してかき集めても、かき集めたものがユーザーに「見られる」存在にならなければ、ユーザーの様々な属性、関心等に関する情報を収集できず、それを利用して広告を配信することも難しいだろう、ということですね。今更、「ネットポータル」を、ネット生活の中心に据えようという人が増えて行くとは考えられず、ソーシャル化の流れに、ポータル化で抗しようとしても、落ちて、縮むだけでしょう。
むしろ、ヤフーインクが目指しているもの、目指すべきものは、買収した、買収するサービスを「ソーシャル化」という点でうまく結合させて、ネットポータルから脱却し、従来のサービスも、一旦ばらばらにしてソーシャル化したサービスの中に組み込む(組み込めないものは思い切ってやめてしまうか売却する)、という、思い切った手を打つことでしょう。そのためには、持ち駒がないと前に進めないため、手持ち資金をフルに使って、使えそうなサービスを買い集めているのが今だと思います。生き残れるかどうかの瀬戸際に立っているということでしょう。