京都府児童ポルノ規制条例 解説講演会

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京都府児童ポルノ規制条例」の論点について、審議会委員として条例の策定に関わった刑法学者の高山佳奈子教授に解説して頂きます。

昨日夜、上記の講演会に行ってきました。京都府の規制条例には前から興味を持っていて、立法に関わった高山教授のお話を聞いてみるのも参考になるだろうと思い参加したものでした。
児童ポルノ有償取得の処罰について、児童ポルノビジネス、ブラックマーケットの抑制ということが、刑法上の盗品関与罪の発想で構想されたことが説明されていて、それはそれとして理解はできましたが、「法益」ということを厳密に考えると、そういった発想を持ち込むことで、条例の存在意義、正当性といったことが曖昧になるようにも感じられました。結局、法令というものは、法益保護(具体的な)のためだけでその存在や正当性が根拠づけられるというものではなく、国家社会的倫理規範といったものを慎重に考えながら、将来の不特定多数の法益を侵害し得るものは今現在の具体的な法益が侵害されていなくても取締るべき場合がある、といったことを加味して考えないと、特に、例えば明らかに既に死亡している児童に関する児童ポルノ規制、といったことはなかなか正当化しにくいのではないか、などと、講演を聴いて考えました。非実在児童のポルノ規制に積極的な論者の考え方は、意識しているかどうかはともかく、おそらく、そういった規範違反、将来の不特定多数の法益保護、といったことがあるのではないかと思われますが、こうした発想を立法に持ち込むことで、
過度のパターナリズムに陥ったり過剰な規制につながったりする危険性は意識される必要があるように感じられました。
こういったことを、つらつらと考えることもでき、なかなか参考になる講演会でした。講師の高山先生、関係者の皆様に御礼申し上げます。