被爆再現の人形撤去へ

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201303150043.html

広島市は14日、原爆資料館(中区)に展示している、やけどを負った被爆者の姿を再現したプラスチック人形を2016年度にも撤去する方針を示した。館内の展示を遺品などの実物資料に切り替える見直しに合わせる。印象が強く、広く知られた人形の撤去について、来館者たちの受け止めが分かれた。

平和学習に訪れた広島の子どもが後々まで、人形に脅えた経験を語る姿は珍しくない。14日に訪れた埼玉県所沢市の中里三代子さん(77)は「被爆の実態を伝えるためには、この人形は必要だ」と撤去を惜しむ。山梨県都留市の大学生東将太郎さん(19)は「写真や遺品など実物の方が胸に迫る。作り物はいらない」と話していた。

私は、広島出身で、幼い頃から、原爆資料館を何度も見学していますが、幼い頃(小学生頃まで)は、こうしたリアルな人形は見ていてショックで、夢に出てきたりしていたものでした。人によって、感受性は様々ですから、こうした、非常にリアルな展示については、予め注意をしておいて見たくない人は見ないで済むようにする配慮が、見せる側に必要でしょうね。
ただ、こうした人形の展示で、あの時、何が起きていたかをリアルに知ってもらう意義は大きく、怖いから、怯えるから、といったことで撤去してしまうことに、私は賛成できません。戦争というのは、戦車に乗り颯爽と走り回ったりする、格好良くきれいな場面はごく一部で、人と人とが醜く争い、非戦闘員であっても無残に殺傷され、広島、長崎のように1つの都市すら壊滅して焼野原を大火傷を負った状態で人々がさまよい歩く地獄絵図のような状態が容易に起きてしまいます。勇ましい、そういった惨禍に思いを致さない末にあるものは何か、ということを人々に知らしめ警鐘を鳴らすためにも、人形は撤去せず、見せ方に配慮した上で展示を継続すべきでしょう。見た子供たちは怯えるかもしれませんが、後日、そういった経験が生きてくる日が来ると思います。