裁判員裁判:証拠写真、白黒で提示 心理的負担軽減 福島と大分

http://mainichi.jp/select/news/20130426mog00m040002000c.html

福島地検郡山支部の小沢正明支部長は25日、報道陣の取材に「現場の状況を分かってもらうためには、白黒写真だけでは不十分」との考えを示したが、「証拠の出し方について裁判所と協議し、裁判員心理的負担に配慮した」と理由を説明。今後も同様の対応を続けていく方針を明らかにした。

タクシー運転手が車内で襲われた強盗殺人事件を審理した大分地裁でも、裁判員には遺体の写真を白黒で示した。大分地検田中宏明次席検事は判決後、毎日新聞の取材に「福島の例も参考に、裁判員心理的負担を考慮した」と述べた。

私が生の事件の記録を見たり読んだりするようになったのは、司法修習生として実務修習をするようになった昭和62年以降ですが、昭和の終わりから平成の初め頃、実況見分調書や捜査報告書添付の写真は、白黒がほとんどでカラー写真は一般化していなかった記憶です。おそらく、費用面で、膨大な写真をカラーにしていては追いつかない、といったことであったと思います。その後、徐々にカラー写真が増えてきて(費用面で安価になっていったのでしょう)、現在では白黒写真が皆無になっています。
白黒写真が一般的であった当時、現場の状況がわからなかったか、というと、そういうことではなく、白黒で十分な場合もあれば、カラーで鮮明な画像を見ることで、より正確に理解できる場合もあって、それはケースバイケースだろうと思います。人により感受性、感じ方に違いがあり、鮮明なカラー写真で凄惨な現場や遺体を見ることで精神的にかなり負担になる裁判員も一定数いると思われますから、今後も、上記のような配慮はうまく取り入れるべきです。
法曹関係者は、仕事で多数の凄惨な画像を見るので、職業的に慣れてくる面がありますが、そういう、非日常的なものを見ることで大きなショックを受ける、人の気持ちや心を慮ることも不可欠ということでしょう。