島田聡一郎先生(早稲田大学法科大学院教授)の逝去

島田先生が、不慮の事故で亡くなったことを、昨日夜になって知りました。今月12日に亡くなったとのことです。心よりお悔み申し上げます。
私は、生前の島田先生と面識はありませんでしたが、Winny事件について、いろいろと考えたり勉強したりしていた当時、島田先生が書かれた、共犯(特にWinny事件で問題になった中立的行為と幇助犯の関係に関するもの)関係の論文を読んだりしたことがあり、大量の文献を読み込んで(参照文献の引用だけで圧倒されるような印象でした)ち密に考える優秀な刑事法研究者という印象を強く持ちました。その当時、東大の山口厚先生にお会いしてご指導を受けることが何度かありましたが、山口先生のお話の中でも、島田先生のことが出ることがあって、こうした優秀な先生から優秀な先生が生み出されるのだな、と、私のようなしがない弁護士とは隔絶した、ハイレベルな世界であると強く感じたことも思い出されます。
近年では、法科大学院向けのテキストも執筆されていて、学生の評判も良いようなので、私も、法科大学院生の指導の際に使わせてもらおうかと思っていたところでした。
まだ39歳であったとのことで、ツイッターで流れてくるツイートなどを読んでいても、研究者としてだけでなく教育者としても、その優れた人間性もあって慕われていたことがよくわかり、それだけに、突然の逝去に驚き悲しむ人が多いのもよくわかります。今後、数十年にわたり、日本の刑事法の世界で中心的な役割を果たし、また、教育の分野でも活躍することが確実であった人材であるだけに、早世が惜しまれます。
今後は、島田先生が目指されていたものやその志を、生きている人々が受け継ぎ大きく育てて行く必要があるでしょう。とても大きなものが失われたという喪失感を強く感じています。