<英BBC>学生に紛れ北朝鮮で取材 大学側は放送中止要求

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130415-00000015-mai-eurp

英メディアによると、問題となっているのは「知られざる北朝鮮」というタイトルで放送予定のBBCドキュメンタリーで、学生はロンドン大学傘下のロンドン政治経済学院(LSE)に在籍する18〜28歳の計10人。BBCの関係者が呼びかけて研究チームを編成し、3月に北朝鮮入りして8日間滞在した。その中に、カメラマンを含むジャーナリスト計3人が紛れ込んだ。
LSE側は「学生たちはジャーナリスト3人が紛れ込むことを知らされていなかった。学生は危険にさらされ、今後の大学の研究にも支障が出る」と主張し、BBCに放送中止を求めた。LSEによると、学生たちがBBCの狙いなどを知らされたのは帰国後の今月9日だったという。
一方、BBC側は「学生には事前に、ジャーナリストが1人加わることを説明した。しかも、ジャーナリストだということがばれれば北朝鮮当局に逮捕される可能性もあると説明した」とし、「ジャーナリズムの点から公共利益だ」として予定通り放送する姿勢だ。

かなり際どい取材ですね。倫理的にぎりぎりのところで、アウトの可能性もありそうです。
まずは、同行していた本当の学生らに、やっていることの実態や危険性をきちんと説明していたかが問題でしょう。ここは学生らとBBCの主張が対立しているようですが、十分な説明が行われ納得が得られていたのであれば、今になってこういったトラブルになるか、という疑問はあって、少なくともBBCの事前説明が十分ではなかった可能性が高そうです。
また、仮に、説明が十分に行われていたとしても、一般人をこのような形で「利用」することで、当局に露見して、スパイ容疑で逮捕されたり拷問を受けたり強制収容所送りになる、といったことが、あの国では容易に起き得ますから、そういう危険を犯させてよいか、ということは当然問題になります。危険を十分に理解した人による、積極的な協力があってはじめてぎりぎり許される、というところではないでしょうか。上記のように、帰国した後に事が明るみに出れば、報復ということも十分あり得ますが、報道機関関係者であれば組織の力で守れるものも、一般人では困難、ということも見逃せないと思います。
報道倫理ということを考えるうえで、興味深いケースです。