サッポロビール課長級、1億3千万円着服 懲戒解雇

http://digital.asahi.com/articles/TKY201303190440.html

男性は、ビールの販売促進のために使うことがある商品券を自ら外部業者に発注。自分の手元に商品券を送ってもらい、金券ショップで換金していた。着服金は趣味や旅行に使っていたという。外部業者には商品券でなくビールグラスやおつまみなどの景品を発注したと偽らせ、サッポロビールに請求させていた。
サッポロビール社内には、実際に景品などが取引先に届いたかをチェックする仕組みがなく、着服に気づかなかったという。

こういった不正の手法はよくありますが、どういう犯罪が成立するかについては、上記の記事に即して言うと、

1 商品券を外部に発注し損害が発生したところを捉えて背任罪
2 入手した商品券を勝手に流用してところをとらえて(業務上)横領罪(←記事によると本件での告訴事実)
3 外部業者が偽りの請求をして代金が支払われたところで捉えて詐欺罪

といった、複数の犯罪について成立の余地があると思います。告訴事実は、実際に物(商品券)を、この男が流用、換金した時点を捉えたものと思われますが(早すぎず遅すぎず、という意味では妥当な捉え方、という気はします)、1や3の成立も排除できないのではないか、という気もします。ただ、2にしぼるメリットは、外部業者が共犯になりにくい、ということで(背任罪や詐欺罪、特に詐欺罪はともかく、横領罪の共犯、というのは難しいでしょう)、本件がそうであるかどうかはわかりませんが、一般的に、外部の関係者は犯罪の共犯からは切り離して処理するために、共犯関係が生じないような犯罪の成立、という捉え方がされることはあります。
今後、最終的に、どういう犯罪として認定されるのか、興味を感じます。