- 作者: 金谷治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/04/14
- メディア: 文庫
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日曜日午後に、毎月1回の、定例の勉強会があり、その前に一通りこれを読んで
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20130311#1362932447
という感想を持ったのですが、発表を担当した、行軍編・地形編・九地編を特に読みこんでもみて、また、勉強会で他の人の話も聞き、いろいろと興味深い点がありました。
勉強会でも言ったのですが、私が感じた孫子の発想の本質は、戦争において「勝つ」ということを絶対視し、そのための手段を徹底的に相対的かつ合理的に考えようとする点で、そういった発想に立つが故に、損害を伴う戦闘行為はできるだけ避けるべきであり、また、勝つためには君主の命令に従わないことも正当化される、ということも主張されることになります。将軍配下の将兵も、徹底的に手段化、機能化されて、情報を与えず高い所に上げて梯子を外すような状況に置き戦わざるを得なくしてこそ勝てるという、冷徹な統率観も正当化されることになります。こうした統率観は、特に、行軍編・地形編・九地編の随所に出てきていて印象的でした。
孫子が言うように事を進めれば確かに勝てるだろう、しかし、それは容易なことではなく、非情、冷徹に徹しなければ実行は難しい、そして、そのようにして勝利を収めた先にあるものは一体何か、そのような勝利を維持し平和を実現することはできるのだろうか、といったことを、今は感じています。こういったことは、今後も考えて行くことになるでしょう。