柔道指導者強制起訴へ 両親「柔道界変わって」

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/news/20130307-OYT8T01433.htm

指導者は事故当時、柔道4段で身長約1メートル80、体重約80キロ。議決書では、柔道を始めて1年半で、身長1メートル46、体重43キロの沢田さんとは著しい能力差、体力差があったと指摘。基本技ではない「片襟体落とし」で沢田さんを力強く投げたことは「重大な事故発生の危険性があるといえる」とした。
次に、「小中高校生は脳が揺れやすいため急性硬膜下血腫を起こしやすく、こうした医学的知識を一般の人より持っているのが柔道整復師」と指摘。当時のラグビー界では、頭を激しく揺さぶられることなどによって脳に損傷が生じる危険についての理解が浸透していたとし、「急性硬膜下血腫などにより重篤な結果が生じることを知り得たと考えられる」と述べ、指導者は事故を回避できたとした。

私は、以前、同種の事件で被害者代理人になっていて、刑事は不起訴になった後に検察審査会に申立して不起訴不当議決が出たものの再度の不起訴になったという苦い思い出があります(民事では勝訴して確定しましたが)。
検察庁の、この種の事件に関する予見可能性についての考え方は、「具体性」を過度に要求しすぎている上、被疑者(行為者)の、傷害発生のメカニズムについての知見が乏しければ具体性を否定するという致命的な誤りを犯していると感じています。柔道事故の危険性は既に以前から指摘されていて多数の死傷者が出ているわけですから、指導をするなら(特に上記のような年少者の指導においては)そういった事情を学んでから指導すべきで、知らずに危険なことをやれば、横着で知らずにいた人間に過失が認定されてもやむを得ないでしょう。
こういった事件が、刑事で本格的に審理された例は極めて少なく(私が知る限り大阪での件に次いで2件目ではないかと思いますが、大阪の件と本件は傷害発生の経過が異なっているようです)、今後の審理経過が注目されます。