遠隔操作ウィルス事件続報 報道されない容疑者側の言い分から見えてくること

http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002676.php

佐藤氏によると、警察は片山氏の自宅の鍵をあずかり、家に自由に出入りできる状態にあるという。また、片山氏の母親から聞いた話として、自宅前にメディアが押しかけ自由に動けない氏の母親のために、警察は日用品の買い出しなどの手助けをする一方で、母親に対して片山氏と親子の縁を切ると書かれた調書への署名を求めてきたという。佐藤氏によると母親はこの要求を断ったという。

警察は、重要事件(従来は公安事件が多かったと思いますが、それには限られません)で、「家族対策」と称して、被疑者の家族に対し、様々な便宜を図ったりしつつ、被疑者が自白したり、警察に協力するよう、家族に対しても、被疑者へ働きかけるよう、協力を求めることがあります。この遠隔操作事件でも、そういったことが行われているのでしょう。
家族対策の中では、警察が、「どうか本当のことを話して立ち直ってほしい。家族は待っているから。」などといった供述調書を家族から取り被疑者にそれを見せる、といったことが行われることがあります(そういった内容を録画、録音して被疑者に見せたり聞かせたりすることもあります)。上記の記事の、「親子の縁を切ると書かれた調書」の内容がよくわかりませんが、「本当のことをきちんと話せないような子に育てた覚えはない。」といった調書であれば、家族対策の一環として取られる可能性はあるでしょう。そういったもので、被疑者を揺さぶり自白へと追い込もうと、警察はするわけです。
こうした家族対策は、被疑者の家族がメディアスクラムによりもみくちゃにされることを防止するなど、すべてがすべて、悪いわけではありませんが、家族を警察側に取り込むことが主たる目的のものですから、家族という存在やその言動(警察に刷り込まれた)が、被疑者にとって強烈な圧力となり、状況によっては虚偽自白を生む、という危険もあると思います(家族に見放されたくない、と思い詰めた末とか)。そうした誤りが起きないためにも、取調べの全面可視化が必要であると言うべきでしょう。