暴行死起訴、再鑑定の死因は病死…根拠の骨折「心臓マッサージ原因」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130206-00000142-san-soci

起訴状などによると、男性は23年9月29日夜、堺市南区の自宅で、父親の顔を殴るなどして傷害容疑で逮捕された。
司法解剖の結果、父親の体に抱きついて持ち上げて床に投げ落とし、このとき、自分の膝または肘を父親の胸に打ち付け、胸骨と肋骨(ろっこつ)を骨折させ死亡させたとして10月20日、大阪地検支部傷害致死罪で起訴した。
男性の弁護人によると、男性は暴行の内容を否認しており、別の医師2人から「骨折は心臓マッサージによるもの」という意見があることから弁護側が再度の鑑定を要請、裁判所が再鑑定を決め、医師が昨年7月から今年1月末まで鑑定していた。
この結果、鑑定医は、父親に動脈硬化の症状があり、過去に心筋梗塞を起こしていたことなどを指摘。父親は心不全による病死後、現場に駆け付けた救急隊員らの約1時間40分に及ぶ心臓マッサージにより胸部を骨折し、そのために心臓が損傷した−と結論付けたという。

この種の事件としては、かなり異例の展開になっていますね。
疑問なのは、「約1時間40分に及ぶ心臓マッサージにより胸部を骨折」なのか、「膝または肘を父親の胸に打ち付け、胸骨と肋骨を骨折」なのか、見分けがつかなかったのか、ということです。膝や肘を打ち付けたのであれば打撲の痕跡は生じそうですし、そもそも、それだけの長時間、心臓マッサージをやった事実は容易に判明していたはずですから、その間の骨折の可能性を、起訴前にどれだけ考慮していたのか、ということになるでしょう。逮捕が9月29日、起訴が10月20日で、複数の医師の意見を慎重に聴いて検討するには、あまりにも期間が短すぎる、という印象も受けます。公判前整理手続の際の再鑑定で指摘された父親の既往症(動脈硬化の症状があり、過去に心筋梗塞を起こしていた)も、起訴するにあたってはかなり気になることであり、この点に対する起訴前の検討状況も気になります。情報が少なく断定はできないものの、いろいろな可能性を想定しつつ慎重に捜査し、必要があれば被疑者を処分保留で釈放した上で継続捜査して結論を出す必要があった事件ではないか、という印象を強く受けます。
今後、検察庁が当初の訴因を維持する方向で動くのか、死亡までの刑事責任追及を断念し訴因変更して傷害、暴行まで縮小するのか(あるいは公訴取消までやるのか)、注目されるところです。