試験抜け出した受験生が予備校関係者に問題渡す 「これは事件にならないのか」との疑問も

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130121-00000003-jct-soci&p=1
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130121-00000003-jct-soci&p=2

女性は県警と大学の調べに対し、問題用紙は大学の入り口にいる自身が通う予備校関係者に頼まれ手渡したと証言した。また、本人はセンター試験とは関係のない大学に合格していて、センター試験は試しに受けてみたのだという。予備校の関係者は問題用紙を受け取ったことを認めたが、
「早く入手して模範解答を作りたかったが、不正をしてまで持ち出すことは頼んでいない」
と語ったという。この問題用紙は19日夜に県警に返却されたという。

試験が行われた活水女子大に話を聞いてみたところ、初めは事件性があると思い県警に連絡したが、受験要領で試験中の問題冊子の持ち出しは禁じられているものの、県警の調べでは問題が外部に流出した可能性はなく、事件性は低いという判断だったため、この女性を失格にして、それ以外は不問に付す事になったという。

成立の可能性があるのは、受験生については窃盗罪、予備校関係者については窃盗罪の共犯(教唆犯、共同正犯)ないし盗品等譲受罪でしょうね。
窃盗罪というのは、他人の財物の占有を侵害し、不法領得の意思を持って取得することで成立します。試験時間中は持ち出しが禁止されている問題用紙を持ち出していること、それにより模範解答を作る、という目的は受験生も認識している可能性が高いこと(予備校関係者に渡している以上)から、犯罪成立要件を満たしていない、とは考えにくいものがあります。予備校関係者にしても、報道によれば、問題用紙は試験が終われば誰でも持ち帰り可能であったとのことで、いち早く入手することに意味があったと思われ、そういった事情に照らせば(事実、受験生も試験開始後30分程度でいち早く退出しています)、窃盗罪の共犯、盗品等譲受罪が成立する可能性は、低いものとはいえないように思われます。
警察の、事件性が低い、という判断にはかなり疑問がありますが、立件すべきを立件せず、立件すべきでないものを立件するのが警察、なので、まあ、こんなものでしょうね。
所詮、長崎県警の判断したことなので、今後の悪い先例にもならないでしょう。